ブラック-SS-



「あれ?レイジ」



少しトーンの高い、ソプラノのような声。



「どうしたの?」と加えられた言葉に、私から視線を外してそちらに目を向ける彼。




彼がさっき言った意味、

”なぁ、ここに女いなかった?”



そうか、そういう意味だったのかと。





「おい、熱あるんじゃねェのかよ」




もちろんそれは、私に向けられた言葉じゃない。




「何で寝てねェんだ」





彼はもう私の存在すら忘れてると思う。