今だに湊の襟足を持ったまま悠陽は外に出れば、次に頭を抱えたのは目に入ったこの光景。
「……。」
本気で遠い瞳をしたくなった。
「何やってんのあのヘタレ」
「あー、助けに行くぞ」
もはや行く気のない湊を引きずったまま、囲まれているであろう颯夜の元に向かう。
この3人が揃うととんでもないことになることはこの時点で十分わかった。
「ちょっとスミマセン」
悠陽がその人集りに入った瞬間、上がる黄色い声。それを少し離れたところで(悠陽曰く面倒事になりそうだから)見ていた湊はその耳をつんざくような声に眉根を寄せて「うるせぇよ」とポツリと呟く。
それを拾った周囲はたちまち静まり返った。

