おでんと隣の君



「ちぃ?」

(平常心。平常心。)

「おい、ちぃ聞いてんの?」

「聞いてまふ!?」

君にほっぺたを挟まれた。

「ひ、人のほっぺを!」

いきなりで、意味のわからないことを言っ
てしまった。



「ちぃが返事しないからだろ」




それからしばらく沈黙が続いた。
おでんのいい匂いが鼻を通る。



「ちぃ」

いつもと違う声であたしを呼ぶ君。
何か嫌で振り向けなかった。