おでんと隣の君



「この、鈍感が」

あたしは小声でつぶやいた。


君はレジの前で立っていた。

「何してんの?」

「おでん食べようかと思って」
「どれにしようか迷うな」

昔からそうだ。君は優柔不断で、悩むとき
は目をつぶる。

「目つぶってたらおでん見えないじゃん」

「ちぃ、何か言った?」

「ん?何もいってませんが」

「あっそ」

あたしは特に買いたいものもなかったから
店内をぶらぶらしてた。

ブーブー
(あ、電話だ)

「ちょっと、電話してくる」