ジー・フール


七城拓魅(ナナシロタクミ)。
この男はクールだが、体が弱い。
倉田が休暇に計画し街に行った時だって、彼は体調不良で来なかった。
冬樹とパートナーで、彼らの連携プレイはこの僕だって驚いた。
コンビネーションがバッチリで、正確。
計算的な七城の指示に、冷静沈着で出来る男冬樹がそれに応える。
他の奴には真似できない。
あの2人だからできるんだ。

ただ弱点を言えば、七城は自分の計画していた通りに進まないと機能が停止する。
それ以外の対処法を考えていないからだ。
パニック状態になる。
だから絶対単独行動はできない。
冬樹が七城の弱点をカバーしているのだ。

ガリ勉のような七城の姿。
ちょっとお洒落な銀縁の角張った眼鏡をいつもかけている。
そして前髪を触るのが癖だ。
僕は不思議なことに七城のことをよく知っているようだ。
変わっている奴だからだろうか。
何故か目に止まる。
ひとつひとつの行動が論理的で、決して非論理的な感情を優先しない。

しかし、彼には絶対非論理的に思えることがひとつだけある。
髪の色が淡い緑なことだ。
これに関しては妙だった。
その微妙な緩みが僕にはわからなかった。
きっと、いつも張り詰めた空気を漂わせる七城の唯一の抵抗なのだろう。

やっぱり弱い奴みたいだ。