ジー・フール


残りの2機が僕たちに向かってくる。

「いくわよ」
菊永の合図と同時に一気に加速。

右に反転。
敵機の後方に回り込み撃つ。
その横をすごい勢いで2機が通り過ぎていった。
まずい。

「菊永」
僕は1機捉えてから言った。

「わかってる、早く行かないと大変だわ」

僕は菊永がもう1機を撃ち落としたのを確認すると、さらに速力を上げて追撃に移った。

1発撃ったが、うまくかわされた。
他の屑とは比べものにならないくらい、まともだった。

動きが違う。
ブレがほとんどない。
機体とパイロットが一体化してる。

敵機に追い付かないまま、鵜嵬基地が見えてきてしまった。

やばい。

敵機が基地に向かって爆撃。
僕と菊永はほぼ同時に撃った。
きっと考えていたことは一緒だったのだろう。

空中で爆発した。
見事に焼夷弾に命中。
爆音が聞こえ燃え上がり、煙を上げた。

しかしまだ終わっていない。
僕は焼夷弾を投下した敵機に向かって、3発突っ込みながら撃った。
2発は外れたが1発は翼に軽く当たった。
不発したのと変わらない。
失敗だ。