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僕の酔いも回ったのだろう。
僕はあの天井とは違う天井を見つめていた。
体を起こして、煙草に手を伸ばす。
火をつけて一服。
湯気が飛んでいく。
煙い。
「聞かないの?」
彼女はバスローブを羽織ながら言った。
「何を?」
僕は彼女が質問した元を知っていたが、聞いてみたくなった。
「マスターのこと」
髪を束ねながらこちらに歩いてくる。
口にゴムを加えながら、長い黒髪を縛っていた。
ツバキさんにはじめて会った時はショートだったが、後ろを振り向いて髪の毛をピンで留めていることで、僕は髪が長いことを知った。
真っ正面ではわらないことが、真後ろで明らかになる。
そんな出来事は、生きている以上いろんなところで知らされる。
裏切られたり、挫折したり、堕落させられる。
でも、たまには発見がある。
それは僕にとって知識として蓄えられる。
生き物の中で唯一人間のみ与えられたモノ。
もう一服。
「聞いたところで何か変わる?」
僕に顔を向けてベットに座っている彼女に尋ねる。
「何も。じゃどうしてあの時あんなこと言ったのかな〜って思ったから」
「会話の糸口」



