ジー・フール


僕はこの違和感に思わず笑ってしまった。
「くだらないよ」
そう言葉をこぼして。

「何がくだらないの?」

僕の吐き捨てた言葉にユイは食らい付いてきた。

「何って。今君が考えていることさ」
僕は彼女を睨み付けたが、口が緩んでいた。

「おかしいんじゃない?」
ユイは睨み返す。

「僕が?」

「えぇ」

「そう思うならそう思えばいい。それは君の自由だ」

沈黙。

今まで和んでいた雰囲気が一転、重い空気に変わった。
自分の発した言動のせいで、険悪なムードになってしまったことに驚いたのか、ミキはごめん、ごめんと言ってこの話を止めようとした。

しかし、そんな簡単に戻るわけでもない。
ミキの頬に涙が落ちていた。
僕は無視した。
倉田だけが気を遣って寄っていった。
事の発端は倉田にあるのだから当たり前だ。
口を滑らせて、パイロットだと言ってしまったことが問題だった。
自分の口の軽さに少しでも反省してくれただろうか、と思いながらも、倉田の無意識の優しさにいつも気付かされる。
パイロットにはもったいない人材だ。
僕はしばし思う。