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だいぶみんな酔ってきたようだった。
倉田は4本目に突入していた。
冬樹も案外飲むほうらしいが、顔色はたいして変わっていない。
菊永は控えめに飲んでいるとみえて、つまみばかり手に取り進んでいないようだ。
ミキは完全にほぼダウン。
半分寝ている。
ユイも倉田のペースに合わせて飲んでいた。
僕は水しか口にしていない。
運転手がいなかったら、帰れなくなる。
そんなことを倉田は気にしていなかった。
きっと、僕がアルコールを飲まないと思っていたのだろう。
確信していたんだ。
僕と同じパイロットだ。
違うのは、感情が混じっているかいないかの問題。
僕はあのグラスの音で外してしまったダーツがどうも気に食わなかった。
それは、彼らのせいではなく、自分の乱れにたいしてだ。
あんな些細な音に僕の耳は反応してしまった。
集中力がそこで途切れた。
情けない。
僕は半分に減ったグラスを手に取る。
「本城くんって〜なんでそんなに無口なの〜」
呂律が回っていない。
ミキはからっぱのグラスを持ち上げながら言った。



