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僕たちが乗ってきたワゴン車に、大人6人乗ることは難しい。
倉田は携帯でレンタカーを用意した。
8人乗りの白いレンタカー。
倉田は運転席へ、冬樹は助手席に座った。
そして、僕と菊永が後部座席に、女性2人は真ん中に乗って出発した。
「ミキさんとユイさんはどこか行きたいところある?」
シートベルトしながら後ろに話し掛けていた。
「ん〜買い物とか?」
ミキが隣のユイに聞いていた。
「まだ昼だし、とりあえずいいんじゃない?」
ユイは適当に答える。
またしても僕たちをシカトだ。
倉田お気に入りのワンピースの女性は、名前をミキといった。
ぶっきらぼうに冬樹が答えたショートの女性はユイ。
左隣にいる菊永が話し掛けてきた。
「外出なんて何年ぶりかな?」
僕に質問しているのか、それともただの自問自答かわからなかった僕は、返事をしないでいた。
「ちょっと聞いてる?」
菊永はさっきより声を大にして僕の顔を覗き込んだ。
「僕?」
「あんた以外誰いんのよ?」
確かにそうだ。
前の4人で話が盛り上がっているようだったし、沈黙だったのは後部座席だけ。



