そのまま僕はもう一本煙草を加えた。
菊永と女性が話しているようだったが、僕はあまり気にして聞いていなかったので、何を話していたのか詳しい内容まではわからなかった。
でも、意識しなくても聞こえるもので、なんとなくわかる。
女性が話していたのは簡単に言うとこういうことだった。
本当は4人で来る予定だったが、ドタキャンされた。
予約をしていたから、部屋は取れているんだけど、どうせだったら私たちと一緒の部屋にしない?
つまり菊永だけが、この女性たちと同じ部屋になると言う話を持ちかけてきたのだ。
「4人部屋を2人で使うのもなんだから、どうかしら?」
「でも…」
途中までは躊躇っていた菊永だったが、女という生き物は男の脳を裏切るのだ。
部屋代はいいから。
その言葉に菊永は甘えた。
一撃で。
コロッと。
戸惑いもない笑顔に変わった。
再び受付に向かう。
今度は4人で行った。
僕ら2人は相変わらず取り残された状態。
倉田は菊永たちが話していた間、一言も口を挟まなかった。
むしろ、ワンピースの女性に釘づけだったと言ってもおかしくない。



