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朝食を食べ終えた僕たちは、ホテルでチェックインしていた。
倉田と菊永が受付で男性と話している。
僕と冬樹はロビーのソファーに座って待っていた。
煙草に火をつける。
冬樹に煙草の箱を差し出すが、首を振られた。
吸わないみたいだ。
倉田と菊永がこっちに向かって歩いてくる。
倉田の表情は険しかったが、菊永はそんな風ではなかった。
「チェックインできた?」
僕は二人を見て尋ねた。
「えぇ」
菊永は腕を組ながら答える。
その後倉田の顔を覗き込んだ。
「どうした?」
「取れたんだけど…俺は」
「私がいいって言ってんだからいいの」
菊永が倉田を見て会話に加わってきた。
その後僕を無視して二人で言い合っていた。
僕は外に目を向けた。
目の隅から入り込む冬樹の姿。
ぼーっと何かを考えているようだった。
菊永が僕を呼ぶ声が聞こえて、振り返った。
「私と悠斗一緒だから」
僕はただ菊永の顔を見つめた。
「一緒って何が?」
「部屋」



