ジー・フール


僕たち4人は軽食喫茶店に入って、朝食を済ませた。
9時前でも、レストランは結構開いていることに少し驚いた。
喫茶店の中にも多いとは言えないが、客は僕たちだけではなかった。
テーブルもシックで落ち着いた雰囲気。
コーヒーもおいしい。
苦さの間に甘さが混じっていてちょうどいい味。
香りもいい。
僕はすぐにこの店が気に入った。
夫婦でやっているのか、他に若い従業員は見当たらなかった。

「おかわりしますか?」
腰エプロンをしたおばあさんが笑顔で聞いていた。

「お願いします」
僕は軽く頭を下げて、カップをゆっくりおばあさんの方に寄せた。

「ちょっと待ってくださいね」
と、言って厨房に戻って行った。

「ここのコーヒーすごくおいしいね。はじめて」
菊永は嬉しそうにカップを見ながら話していた。

僕もそれに頷き、おばあさんのコーヒーを待った。

「お待たせしました」
湯気が上がったコーヒーが僕の前に置かれた。
またあの笑顔でお辞儀をすると、カウンターに座っている中年の男に呼ばれて行ってしまった。

鼻で湯気を一気に吸い上げた。
出来たてのコーヒーの匂い。
添えてあるスプーンでゆっくり掻き回すと、さらに香りが広がった。