だから僕はこの後彼にこう言うのだ。
「新しいパイロットは?」
今回の2名の死は、この基地にとって大きな損害なはずだ。
1名はすぐに配属された。
しかし、2人目の話を耳にしていない。
僕はまた死を聞き流して、戦闘機に乗って敵機を撃つんだ。
「まだらしい」
さっきと同じ口調で答えた。
きっと彼なりに、僕のことを解釈してくれたのだろうと思った。
気にしていたのは、パイロットの生死なんかじゃなくて、僕はいつもその先のことを考える。
パイロットが減れば、新しいパイロットが必要だ。
人数が減ってしまったら、僕が出撃する量が増えてしまう。
仕事とは言え、人を撃ち落としていい気分にはならない。
「決まってるんですか?」
パイロットは決まっているが、事情によってまだ来られないのかと思って、僕は聞いてみた。
「わからない」
呟くと、彼は立ち上がり食堂を出ていった。
僕は倉田の背中を見送った後、ゆっくりお茶を飲んだ。



