ジー・フール




僕は食堂で夕飯を食べていた。
今日の任務は偵察だった。
2時に出て、6時にはもう戻っていた。
あれから大きな出撃がない。
向こうもとりあえず待機状態か…
それとも何か一発逆転でも狙っているか。
そんなはずはない。

僕の右隣に倉田が座ってきた。

「飲んでるか?」
彼なりの挨拶。

僕は頷き食事を続ける。
倉田はビールを飲んでいた。

「女性パイロット」
彼は口にした。

「それが?」

「案外可愛かったな」
そう呟くと、僕を見て笑ってみせた。

「そうですか?」
僕は聞く。

「なんだお前。今朝話してるところ見たんだぞ」
また僕をからかう。

「案内してただけです」
僕は前を向いたまま答えた。

「つまんね〜な〜」
彼はビールのグラスをぐるぐる回している。

「そう言えば、入院中のパイロットは?」
あの日事故で怪我したと言っていたパイロットの話を持ち出した。

倉田は回していたグラスの手が止まって、そのままテーブルに置いた。

ちょっと間が空いた後彼は話しはじめた。