ジー・フール


彼女に案内を頼まれ、僕は中に入った。
2階に上がると、従業員が働いているオフィスや、各部屋を教えて、僕たちパイロットの宿舎に案内した。

「ふ〜ん。悠斗の部屋はどれ?」
本城より前に立ち尋ねる。

「左の前から2番目」

「中とかはそれぞれ違うの?」
そういうと彼女は、僕の返答を待たずに、すたすたと歩いて部屋の前に立ち、ドアを開けようとする。

「あれ?開かないんだけど」
彼女は押したり引いたりした。

「ここは、自動だよ」
僕は胸ポケットからカードを取り出して、ドアにスライドさせた。

彼女は僕の顔を見て口をとんがらせた。

「な〜んだ。案外普通。シンプル」
彼女は部屋の中を見回して言った。

「寝るだけですからね」

右側にある鉄パイプのベットに座り、両手をついて天井を見上げる彼女。
僕は彼女の前を通り、ベット頭上隣にあるディスクの椅子にもたれかかった。

「聞かないの?」
彼女は僕の方を向いて尋ねてきた。

「何をですか?」
僕は即答した。

「何って…その前に敬語。敬語止めてよ。私たち年近いんだから」

「そうなの?」
僕はすぐ聞き返した。