「さぁ〜な。スペアなんていくらでもいる。使えなくなったら捨てる…それだけ」
僕らの配属している基地は、一番本社に近い。
だからよく出撃を要求される。
この場所以外にも4箇所基地がある。
でも、ここみたいに戦闘中心の基地はあともう一ヶ所のみ。
他のところは、街の設備、発展中心や偵察中心で、戦闘にはむいていない。
別の技能が優れていて、僕らパイロットに気難しいことである。
そしてそのことは、僕以外にもまだ皆未完全であるという証だ。
「本城って下の名前なんつーの?」
「悠斗」
「ゆうと?」
僕は頷いた。
「悠斗か〜じゃ今度からお前のこと悠斗って言うわ」
「えっ?」
僕は倉田の顔を見た。
何だか楽しそうな表情で、にこりと僕に微笑む。
「下の名前で呼んだ方が仲良さそうじゃん?」
倉田が僕に同意を求めているように思えた。
「別に僕はどっちでも構いませんけど…」
「なんだよ〜嬉しいくせに」
そう言いながら倉田は僕を肘でグイグイ押してきた。
やっぱりこの人は酔っているようだ。
パートナーを組むことが決まった時に話されたはずなのに、彼は知らないふりをした。
もしかしたら本当に知らなかったかもしれない。
僕と少し似ていて。
悠斗と、僕を呼んだのは2人目だった。
でも1人目は知らない。
知ってるけど誰なのか知らないだけ。



