僕が食堂を訪れると、倉田はビールを飲んで煙草を吸っていた。
僕は違うテーブルに座って食事をする。
倉田からの目線が若干気になったが、無視して食事を続けた。
椅子の引きずる音が聞こえて、僕は倉田の方向を見た。
ちょうど目が合ってしまい、すぐに目線を逸らした。
「おい」
倉田は僕の横に立って言う。
「何?」
僕はそれに対応して振り向いた。
「夜、顔貸せ」
暗い口調でそういうと、倉田は食堂を出ていった。
僕は首を傾げた。
まだ昨日言ったことを気にしているのだろうか。
しかし、そんなことを思っている僕の方が、気にしている証拠じゃないかと思った。
鼻で息を吐き、一気に平らげた。
ガラス格子のドアを押し、通路に出た。
中庭で空を見上げて立っている人を見かけた。
僕も外に出てみる。
10mほど歩いて誰だかわかった。
新堂司令官だった。
「何か飛んでますか?」
僕は後ろから冗談混じりで聞いた。
「オウム」
新堂は空を見上げたまま答えた。
僕は少し吹き出した。
続けて新堂も笑った。
すっかり晴れて、太陽が眩しかった。
手でおでこに触れるほど。
でも、新堂はサングラスをしていたおかげか、眩しそうには見えなかった。



