ジー・フール




あれっきり倉田とは言葉を交わさなかった。
でも僕はそれでもいいと思った。
考えの食い違いなどあるのは当たり前で、これから先同じことがないとは言いきれない。
また誰か死ぬかもしれない。
その時今日のようにいちいち気にしていたら、きりがない。

僕はベッドに横になり天井を見る。
外は相変わらず雨が降っていて、変わったのは夜になったくらいだった。
思った通り、今日はゆっくり眠れそうだ。
こんな雨のなか敵機が来るなんてまずありえない。
ありえたなら、向こうの指揮官が異常ということだ。
そこまで馬鹿じゃないだろう。

僕は目を閉じる。
そこは真っ暗。
深い眠りにつけないまま、僕はいつも目を覚ます。
夢を見るわけでもなく、ただ目が閉じて、真っ暗。
それが僕にとって寝ているということなんだろう。

そして朝になるのを待つんだ。