「それで?」
僕はその後のことが知りたくて聞いた。
「代わりのパイロットのことか?」
新堂は顔を上げて目を丸くして聞き返す。
僕は頷く。
きっとこんな緊迫している中で、僕があまりにも冷静に尋ねたからだろう。
「連絡を待っている段階だ。おそらく今夜中には決まると思う」
「そうですか」
僕は答える。
僕が水を差したせいか、沈黙と険悪な空気が流れているように思えた。
それくらい僕にだってわかる。
しかし、どうでもいいことは聞く必要性はない。
「話しはそれだけですか?」
僕はまた聞く。
「まぁ…」
新堂は少し驚いた表情をしていたように見えた。
倉田はその間黙って聞いていた。
僕は敬礼をして部屋を出た。
ちょっと通路を歩いてから、倉田も出てくる。
「本城」
倉田は小走りで近づいてくる。
でも僕は歩く速度を変えない。
肩に手を置かれてやっと立ち止まった。
僕は振り返り倉田を見る。
真剣な表情をしていた。
唇を噛み締め、眉をひそめる。
何か言いたそうな顔だ。
その先彼から出る言葉は何となく想像できた。



