ジー・フール


僕は再び司令官に呼ばれ、部屋に訪れていた。

「ご苦労だった」
新堂はそう言いながら一服する。

煙は僕の視界を邪魔した。

「いきなりの指示だったので驚きましたよ」
隣で倉田は言った。

「悪かったな…二度も呼んでしまい」

「いえ」
僕は消えていく煙草の煙に目をやりながら答えた。

僕は腕時計を見る。
10時半すぎ。

「1名死亡。もう1人は今入院中だ」
新堂は僕たちに背中を見せて話した。
「敵機によっての死亡でないことが確認できた」

「じゃ…」
倉田は前に乗り出して聞く。

「2名出撃。他の2名は今も任務中である。予想外なことに向こうは7機で出撃してきた」

「それには感知できていなかったんですか?」
倉田の声はさっきよりも張りがあった。

「4機は感知出来ていたんだ。空だったから。しかし、あとの3機は海中からだった」

「海中?」

「あぁ…」
新堂は振り返り、ディスクに両手をつけ頭を下に向けたまま話す。
「海中から空中に切り替えられ、それに気付かなかった…これは我々の不注意だ」
右手の拳でディスクを叩いた。