真っ暗でまっすぐ通路を歩く。
この先には時田が待っている。
二回ノックして、ドアを開け入る。
「失礼します」
「林博士。こちらへ」
時田裕貴は椅子から立ち上がり手招きする。
林は時田のディスクの前に立ち止まった。
「ご用件は?」
「ふっ…相変わらず冷たい人だ。もう聞いているな」
時田は微笑みながら聞く。
「えぇ…さっき従業員が話していたのを聞いたわ」
「お〜これは失敬。すぐに君に伝えるべきだったね」
「いえ」
時田以外に、ごついボディーガードが2人。
「そんなことを言うために呼んだわけではないですよね?」
林は目を細めて尋ねる。
時田は一息ついて、胸ポケットから煙草を取り出す。
それに即座に反応した左のボディーガードの1人が、ライターで火をつけた。
「あら。いいご身分だこと」
林は皮肉に言う。
口元を少し上げた。
時田は顎を突き出す。
今度は右にいたボディーガードが林の前に立ち、脇に挟んでいたファイルを差し出した。
「これは」
林は黒いファイルを見て尋ねる。
時田は不気味に微笑んだ。



