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今日は朝早くから呼び出され、部屋の中で待つよう言われた。
部屋の中は殺風景である。
黒いディスク。その後ろはブラインドが下ろされていて外は見えず、中は隙間から入る太陽の光で少し明るいくらい。
ディスクにはいろいろと書類が積まれているようだ。
紙が何枚も束ねてある。
他に客用のテーブルも無ければソファーもない。
壁に額すらない。
写真、絵画など飾るだけでもだいぶ変わるのに。
部屋の中を一通り見回すと、倉田が話し掛けてきた。
「なぁ…何で呼び出されたんだろな」
肩を壁につけて立っていた。
「ここ禁煙?」
倉田は胸ポケットから煙草を取出し僕に見せる。
「さぁ、一応呼ばれた身なんですから」
僕は適当に答えた。
僕はディスクの方に体を戻し、ブラインドを見つめた。
この静かな空間では、倉田が煙草を戻す音さえよく聞こえる。
「ここさ、棚すらねぇんだな」
倉田は僕に向かって歩きながら言った。
「そうですね」
僕は頷く。
言われてみれば、棚すら置いていなかった。
すっからかんという言葉が似合う。
業績を証明するようなものは全く置かれていない。



