あれから廊下で
青瀬とすれ違うと

ドキドキしてまともに顔を見れない。

嫌い。嫌い。
そう、あたしは青瀬なんて……




「––––好きでしょ?」



「ええええ?!好きじゃないよ!」



いきなり 利絵から聞こえた言葉に
思わず立ち上がって大声で叫ぶ



「え?そうだったっけ?
クッキー嫌いだったんだった?」



…え?クッキー?

利絵の手元を見ると
可愛くラッピングのされた
手作りであろうクッキーが握られている



「…え?あ、好きだよ!
クッキーは好き!」



……青瀬のことかと思った…



「なにと勘違いしたんだか…」



利絵はニヤニヤしながら
あたしに クッキーを手渡す



「べ、別に!
クッキーありがと!」



なんで青瀬ばっかり
頭に浮かんでくんのよ…


男の子と最近喋ってなかったからだよね。
そうだよ、それしかない。


ドキドキするのも
久々に喋ってるからであって…



「…おーい」



「…好きじゃない。絶対…」



「……聞こえてるー?」



「…第一 あんなむかつくやつ……」



「はい、すとっぷー!」



グイッと持たれた肩に反応して
後ろを振り返ると



高身長の男の子が立っていた。