海崎が帰り、僕は家に1人になった。

このことを誰かに話すべきか、本人が話すまで待っているか、僕は悩んだ。

その日僕が珍しくご飯をお代わりしなかったことに両親が心配していたけど、今はんなことどーでもいい。

次の日の朝、僕の顔には深いくまと涙の跡がついていた。

あと2日で夏休みという今日、クラスでは夏休みの予定についてもりあがっていた。

すると突然海崎がこんな提案をしてきた。

「CのみんなでNスパ行かない?」

Nスパとは、「ナガレヤマスパーランド」の略で、お手頃価格でいろんなアトラクションが楽しめちゃう子供にやさしい施設だ。

電車一本で行けるので、僕もよく行く。

「いいよ〜」「いつにする〜?」

と賛成の声があがる。しかしそこで

「でもなんで急に?今何のイベントもやってないよ」

と学大 中本が問うた。

すると海崎は「せっかく中1になってメンバーチェンジしたんだよ!青春の思い出ーみたいなの作ってみたいじゃん!」

と海崎が明るくいう。

でも僕はその本当の理由を知っている。そう、僕だけが。

そして僕らは夏休み、Nスパへ行くことになった。

Nスパへ行く前日の夜のことだった。海崎からLINEが入った。

"誘っといてごめん!熱出した!みんなに伝言よろしく!"

海崎が熱を出したのだった。僕は無性にいてもたってもいられなくなった。

僕の家から海崎の家まで徒歩8分。チャリで飛ばせば2分で着く。

今はまだ7時半。夜遅いって時間でもない。行くしかない。

僕はそう思いガレージの自転車に飛び乗った。