僕も岩下も何も言い出せないまま月日がながれた。

唯一変わったことといえば僕と岩下が口もきかない仲になってしまったことくらいだろう。

そしてついに海崎と別れなければならない日がやってきた。

クラスのみんなには引っ越すことを伝えていなかったらしく、クラスメイトたちは唖然して何も言うことができなかった。

今日は1日過ぎるのがとても早い気がした。

下校のチャイムがなった。クラスメイトは泣きじゃくり、海崎もつられ泣きをしていた。

岩下は呆然と立ち尽くすばかりだった。

翌日、朝早くに海崎の家の車はみんなに見送られながら出て行った。

僕はそれを家の窓から静かに見ていた。

涙も流れない乾ききったこの目で