マフラーを見てみれば、それは綺麗に巻かれていた。
「......ありがとう」
私がそう言えば、彼は " どうしたしまして " と言って
また、優しい目をして笑った。
「私もいつかこんなふうに綺麗に巻けるかな…」
そう私が呟く。
「.....いいよ、ずっと巻けなくても」
そう言って、彼は私の手を引いて歩きだした。
___どうして?
そう思って、少し前を歩く彼を見つめる。
「....今年も来年も再来年も、
ずっとずっと、俺がやってやるから。」
なんて言った彼の表情は、彼の手によって見えないけれど、こんな寒いのに耳を赤く染めていて、そんな彼がやっぱりおもしろくて、そして愛しいと思った。
*end*


