すっかり遅くなってしまった。
スーパーでの買い物を終えて家に帰ったが、卵を買い忘れてしまってて、もう一度スーパーへ行った帰り道である。
卵を片手に、家へと帰る。
オムライスを作るのに、卵がないとオムライスを作れない。他のものでも良かったんだけど、オムライスの気分なのでしょうがないと思いながら、スーパーへ向かった。
ついでに、オレンジジュースも買ってきた。私の大好物である。
「ん?」
私は、曲がり角を曲がる途中で立ち止まった。
なにあれ。
私の家の前に見知らぬ人影と1台のバイクがあった。
お姉ちゃん...じゃないよね。
今日の夢を思い出したが、頭を左右にふり思い出さないようにする。
誰だろ。
あの家には、私1人しか住んでいない。
両親は私が3歳のときに、交通事故に巻き込まれ即死だった。両親に守られるように生き残ったお姉ちゃんと私は、私の12歳の誕生日の日まで2人であの家に住んでいた。
あたりは暗くなり始めていた。あと、数分もすれば日が落ちる時間帯だった。
無理だ。早く家に入ろう。
人影は怖いけど、暗いところはもっと無理。
小さい頃の所為で暗所恐怖症になってしまった私は、とりあえず家に入ろうと思い、人影に向かって歩き始めた。
バイクにまたがっていた人影が私に気づいた。
「柏木...美希(みき)の妹だよね?」
バイクにまたがっていた男の人は、暗くてあまりよく見えないが、オレンジ色の髪が印象的な、右耳のみにピアスを開けている綺麗な顔をした男の人だった。
柏木美希は私のお姉ちゃんの名前だ。
なんでこんな人がお姉ちゃんの名前を知ってるのだろうか。
「...誰ですか」
「俺は、日比谷(ひびや)高校2年の関口大翔(せきぐちひろと)。蒼龍(そうりゅう)は知ってる?」
関口大翔と名乗る男が言う“蒼龍”とは、この地域では有名な暴走族である。
「...暴走族の方がなんのようですか」
「連れて来いって言われてるんだよね。一緒に来てくれない?」
