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「ほーんとよかったぁ」


長い長い話のある始業式が終わり、今日の学校は終わった。


「ほんとだね」


私と美香は、2年3組で同じクラスになった。


「これで修学旅行同じ班になれるねっ」


美香は嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねている。まるで子供のようだ。


美香の家の早乙女グループの財力をよく知っている麗華女学園の生徒は、美香とあまり接していない。美香に嫌われるようなことがあれば、この日本で生きていくことができるかわからなくなるためである。そのため、美香に話しかけるのは、私くらいしかいない。


まぁ、美香はお人形のようにかわいいから、そういうところも近寄りがたい存在の理由になっているのかもしれない。


「あ!石川さんだ!咲希ものってかえる?」


石川さんとは、美香専用の送迎係の人である。


「今日はいいよ。帰りにスーパー寄るから」


「えー、咲希のご飯ならお母様が作ってくれるのに?」


1年生のときは、学校終わって美香の家に行き、美香のお母さんに晩御飯をご馳走になって、石川さんの送迎で毎日家に帰っていた。


「2年からは自分のことは自分でしようと思ってね。ありがとうね、美香」


「うん...」


少し不服そうな美香は、私に手を振り石川さんが待つ車へと歩いて行った。