「いってきます...」


だれからも返答のない家を出て、いつもの道を歩いて学校へ向かう。


久しぶりにみた子供の時の夢の所為で、寝起きは最悪。今日から新学期というのに気分は今にも雨が降りそうなくらいのどんよりとした天気のようだ。


私–柏木咲希(かしわぎさき)は、今日から麗華女学園高等部の2年になる。


麗華女学園とは、財閥のお嬢様がほとんどの人数を占めているお嬢様学校で有名な学校である。


そんな学校に私が通っているのは、家から一番近い学校というだけの理由である。学費は高いため、猛勉強をし、特待生として入学した。そのため、学費・制服・教科書代など、全て免除である。貧乏な私にとっては嬉しいことだ。


「さーきっ」


「あ、おはよ、美香(みか)」


「おはよーっ!」


天然物の綺麗な栗色の髪をくるくるっとパーマをし、いかにもお嬢様って感じの雰囲気を醸し出している女の子が声をかけてきた。


私の親友–早乙女(さおとめ)美香。早乙女グループの令嬢である。


「咲希と一緒のクラスになれるかなぁ」


「なれるよ、大丈夫」


「もし、同じクラスになれなかったときでも、毎日一緒にご飯食べようね」


「もちろん」


美香のいつものマシンガントークを聞きながら、クラス表が貼られている掲示板へと2人で向かった。