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「…で?花火は?」
仕事を終え、ロッジに集まったあたしたち4人。
半袖から出る腕を撫でる風は、まだ昼間の蒸し暑さを残しながら木々をさわさわと揺らす。
隣のダイニングルームから漏れる明かりだけを頼りに、みんなの顔を伺っていると玲の不機嫌な声が響いた。
「何で花火持って来てないのよ、俊介!」
「うるせーな!お前はちょっとだまってろ!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる玲に構わず
懐中電灯で不気味に顔を照らして、桜井くんが呟く。
「夏、と言えばやっぱ肝試しっしょ!」
「はぁ!?」
き、肝試し!?
「ちょっと、どうゆう事よーっ!」
玲が憤慨して立ち上がった。
だけど桜井くんは動じる様子もなく続けて口を開く。
さすが。
玲の扱い方に慣れてる、なんて冷静に関心してしまった。
だけど、この後
次いで出た桜井くんの言葉に、冷静でいられない事に気が付く羽目になる。