恋 文 日 和



一週間ぶっ続けで働いて、ついにバイト最終日。


7月の焦がされるような太陽が遠くの山に消えて
この7日間で刻まれた日焼けの跡が、思い出に残された。


「あ~、ついに今日で終わりかぁ。」

ひと時の休憩に、玲がスポーツドリンクで喉を潤す。


チリン、と風鈴が風に揺れて
あたしはうちわで顔を仰ぎながら、「そうだね…。」と返事をした。



この窓から眺める緑いっぱいの風景も
おばさんのおいしい料理も

今日で見納め。



寂しい、な。

ようやく仕事も覚え、自分がするべき1日の流れを掴んだばかりだったのに。


毎日やる事が山のようにあって
疲れきった体をベッドに投げ、玲と話す事も出来ないまま熟睡して。

戸惑う事も、大変だった事もたくさんあったけど
やっぱり体を動かす事はすごく楽しかった。



何より、お客さんから
『ありがとう。』って言われるのは

本当に嬉しかったし


『また来るね。』なんて笑顔で言われた日には、より一層仕事に力が入った。



それなのに、今日で最後なんて。

もう少し、働きたいのにな…。