「最近、元気ないような気がしたから。」
顔を上げると、心配そうにあたしを見つめる神楽くんと目があってしまった。
ドキン、と心臓が跳ね上がる。
「う、ううん。別に何も…何もないよ!」
その言葉が図星だと悟られないよう、努めて明るく振る舞う。
…言える訳ない。
元気がないのは、あなたのせい。だなんて。
『彼女いるの?』
『好きな子いる?』
聞く勇気もないくせに、勝手に傷ついてるだなんて。
そんな事、言えない。
「そっか。ならいいけど…。」
あたしの答えを聞いて、拭き終えた食器を重ねた神楽くんは
「何かあったら、相談しなよ。力になれる事は力になるから。」
そう言って、優しく頭を撫でてくる。

