恋 文 日 和



「…ぷっ、あはは!」

それを見ていた神楽くんが、声を上げて笑った。


「本当、菊井って天然だよな。」

眉を下げたままの神楽くんは、お皿を拭きながら呟く。



「そ、そうかな…。」

「そうでしょ。もしかして自覚なし?」

その問いかけに小さく頷くと、神楽くんはまた笑った。


思い返せば、こうして神楽くんと二人で話すのは久々で。

避けていた、と言うのが正しいけど
やっぱり神楽くんの笑顔はあたしの心を揺さぶってくる。


赤くなる顔を見られる前に、俯いて再び洗い物に取り掛かった。


神楽くんも同じように再び食器を片していく。


もう、水の冷たさもよくわからないくらい、体が熱い。





「何か、あった?」

「え?」

しばらくして口を開いた神楽くんに、思わずスポンジを動かす手が止まる。