初めてのバイトは、想像していたよりもずっと大変だった。


やる事は山のようにあって、気を取られてるうちに仕事が増えて。

ここから見える夕日が綺麗だとおばさんが教えてくれたけど、ふと視線を外に移してみればすでに夕日はどっぷりと沈んだ後だった。



「あー、超疲れたぁ!!」

コマ送りのように押し寄せる仕事から、ひと時の休息。

玲は気だるそうにイスに体を預けて、ぐったりとしている。


あたしも玲に倣って隣に腰を降ろすと

「はい、お疲れ様。」

目の前のテーブルに置かれたビーフシチュー。


それはほんのりと湯気を立たせて、香りがあたしの鼻を刺激した。



「本当助かるわ、女の子二人居ると。」

視線を上げると、おばさんがにっこりと笑ってあたしと玲を見下ろしていて。


「疲れたでしょう?」

「いえ、まだ大丈夫です!」

なんて言ってはみるものの、実際体のあちこちから悲鳴が聞こえてくる。


明日、絶対筋肉痛だろうな…。



そんな事を考えていると

「ううわ!マジうまそう!超腹へったぁ。」

ふいに聞こえた明るい声。



桜井くんだ。