あぁ、どうしよう!
何か話さなきゃ!
そう思っていても、思考回路は彼が歩く度にこんがらがっていって、もう正常には機能してくれない。
たまに外から聞こえる部活動の声。
それ以外の音は全て遮断されて、あたしの心臓が神楽くんに聞こえてしまうんじゃないかと慌ててしまう。
そして、パニックに陥ったあたしよりも先に、神楽くんは静かに口を開いた。
「…何か、ごめんね。」
「……へっ!?」
一足遅れて反応する。
…ごめんね、って一体何が?
あたしは神楽くんの言葉を上手く飲み込めない。
そんなあたしに、神楽くんは困ったように頭を掻きながら机に腰を降ろした。
「いや、ほらさ、朝…。確かに雰囲気変わったかも、なんて素っ気ない事言っちゃって…。」
「……え?」
もしかして、神楽くん…
気にしててくれたの?