他愛ない話をしながら
前を歩く桜井くんと玲を追うように
神楽くんと歩く。


もうすぐ咲くであろう桜の木を見上げ、神楽くんは口を開いた。



「明日だな、クラス替え。」

「…うん…。」


俯いたあたしに

「寂しい?」と神楽くんが問い掛けてくる。



「…寂しい、よ。」

素直に出た言葉。


そんなあたしを見て、神楽くんは呟いた。



「菊井、耳貸して。」

「え?な、何で?」

「いーから!」

ぐい、と腕を引っ張られ
神楽くんの唇が、あたしの耳元に近付いてくる。




そして――――――…




「いい?」

囁いて、口元を離した神楽くんはそう尋ねてきた。



あたしは真っ赤になった顔で
俯いたまま頷く。