どうか
どうか、お願い。
『神楽がさっき言ってた。』
どうか、間に合って。
『美咲ちゃんの見送りの前に、バイト先に行かなきゃいけないって。』
そして
あたしの話を聞いて。
『きっと、まだ間に合うよ。行ってきな、日和!』
ちゃんと、伝えるから。
伝えたいから。
『好きです、って気持ちぶつけてくるんだよ!』
今まで、ずっと
胸に秘めてた想いを、あなたに
神楽くんに伝えたい。
だけど、その前に
あたしはしなきゃいけない事がある。
西日が差し込む廊下を駆け抜けて
人の気配がする教室へ、倒れ込むように覗き込んだ。
「…っ、はぁ、あ、あのっ!」
でもここは、あたしの教室じゃない。
「三上くん、もう帰りましたか!?」
この想いを伝えなきゃいけない人が
もう一人、居る。

