恋 文 日 和



放課後が近付くと
教室は更に慌ただしくなった。


さっきまで
居たはずのクラスメートはいつの間にか見当たらなくなっていたり

自分には関係ない、と思って寝ている人がいたり
時間の過ごし方は人それぞれで。



あたしのカバンに入っているチョコレートも
今では何の価値もない。

もらってくれる人は
もう、前の席には居ないのだから。




「気を付けて帰れよ~。」

「はーい!あ、先生にもチョコあげるっ!」

「そんな事しても成績は上げないぞ!」

「えー、先生超ケチー!」


聞き慣れた先生の声と
あははっ、と突き抜けるような笑い声が廊下から聞こえて

その声は次第に遠ざかり、教室は一気に静かになった。



ガランとした教室では
玲が学級日誌にペンを走らせる音だけが聞こえる。



「ごめん、日和。あと少しだからさ。」

「うん、大丈夫!」


あたしは委員長として仕事をこなす玲を待ちながら

ぼんやりと前の席を見つめた。