恋 文 日 和



「やったねーっ、一番後ろ超嬉しいっ!」

「ずりーよ、俺も一番後ろがいい!」

「うるさいなー、いいじゃん!俊介が前じゃないとあたし寝れないしっ!」

「はぁ!?ふざけんな、俺だって寝てぇよ!」


玲と桜井くんが前後になって、一気に回りが騒がしくなった。

そんな二人を見て、あたしと神楽くんが笑う。



席替えの結果、窓際の一番後ろがあたし、その前が神楽くん。

あたしの隣りには玲で、その前が桜井くんになった。



窓際がいい、と言っていた玲は、神楽くんが窓際だと知ってあたしに譲ってくれた。

嬉しいと思う反面
あたしの心はどこか複雑で。



「よかったな、窓際で。ちょっと寒いけど。」

「う、うん。そうだね。」

考えなきゃいけない事は山のようにあるのに
神楽くんの背中を見ていると、それすら疎かになってしまう。



嬉しいのに、素直に喜べないなんて。

自然とこぼれる溜め息が、みんなに気が付かれないか不安になった。





―――だけど季節はいつだって
足早に過ぎてゆく。


あたしたちを残して。


ただ、同じ間隔で
同じ季節を、毎年繰り返す。




あたしはこの時
まだ、知らなかった。


季節が、彼の笑顔が
真実を包み隠していた事を。