「遅かったじゃん!山田に目付けられたらヤバいよ?」
「うん、ごめんね。」
教室に戻ると、ちょうど授業が始まる時間だった。
「…玲、」
「ん?」
肩を叩いたあたしに、玲は振り返る事なく返事をする。
「来週、買い物付き合って欲しいの。」
「何の?」
チラッと神楽くんに視線を移して
あたしは言った。
「…バレンタイン、の。」
「え?」
その言葉に、目を丸くした玲は
「わかった。バイト、休み取っておくね。」
すぐに意図を読み取って、承諾してくれた。
そして始まった古文の授業に
山田先生の声が、教室に広がってゆく。
あたしは窓の外に視線を移し
頬杖をついて、ぎゅっと唇を噛み締める。
…あたしの、答え。
心の中で小さく呟き
そして、真っ直ぐに黒板を見つめて
先生の文字を書き写した。

