恋 文 日 和



「…じゃあさ、」

三上くんがそう口にした時
タイミング良く、チャイムが鳴り響く。


聞こえていた笑い声も、次第に静まり始め
誰かが走る音が階段下に響いた。



「その時に、答え…聞かせて欲しい。」

「…その、時…?」


あたしの問い掛けに、三上くんは眉を下げて
小さく呟いた。




「…神楽か、俺か…。誰にチョコを渡すのか。」

三上くんの笑顔を
扉から差し込む光が遮って。



「決めるのは、菊井さんだよ。」


遠ざかる背中が、あたしの視界を滲ませた。






『決めるのは、菊井さんだよ。』

頭の中で何度もリピートされる。


あたしは立ち尽くしたまま
その言葉の意味を考えていた。



…答え。

あたしは、どうしたい?


あたしが好きなのは、神楽くんで。
三上くんの気持ちには答えられなくて。


そう思う一方で
三上くんを突き放せない自分がいる。



でも―――――…