「菊井さんの好きな人。」
呼吸が、止まるかと思った。
優しい口調とは反して、切なく揺れる視線が
あたしの声を震わせる。
「…どうして、」
「やっぱり、そうだったんだ。」
ハッキリとした三上くんの声に
それ以上、何も言えなかった。
口にすればする程、言葉は嘘を深めてしまうから
あたしは黙って俯いた。
「…本当は、」
口火を切ったのは三上くんからで。
「本当は、薄々気が付いてたんだけど…。」
はは、と乾いた笑いが心臓を痛ませる。
「初詣で会った時、確信したよ。」
ぎゅっと瞑った瞼が、罪悪感からか開けられない。
「…バレンタインは、神楽にあげるの?」
その問いに、あたしは俯いたまま首を横に振った。
…こんな気持ちじゃ、チョコレートなんてあげられないよ…。
苦しくて、息が詰まりそう。
神楽くんへの気持ちが
誰かを傷つけるなんて――――…

