『…ありがとう、日和ちゃん。』
あの日の事は、もちろん玲に話していない。
玲の事だから、言えばきっとあたしの力になってくれる。
…だけど
それじゃいけないんだ。
それじゃ、あたしは成長出来ない。
玲に頼ってばっかりで、誰かの手を借りなきゃ
この恋を実らせられないなんて
そんなの、絶対に嫌だから。
だから、あたし強くなりたい。
もっと、もっと
強く。
いつか、神楽くんにこの気持ちを
伝えられるように。
嘘偽りなく、素直な気持ちを
伝えたいんだ。
「あー、次古文かぁ。山田の授業ってホント眠くなるよね~。」
「うん、だねー。」
学食を出て、教室がある校舎に続く渡り廊下を
玲と二人で歩く。
そしてちょうど渡り廊下を通り過ぎようとした時、
「菊井さん!」
呼び掛ける声が、あたしたちの背中を引き止めた。

