…バレンタイン、か。
心の中で、一人呟いてみる。
だけどそれは
思うようにあたしの中で処理出来ずに、がらんどうの心に置き去りにされた。
そして、中華丼をスプーンに乗せ
「…あげない、かな。」
そう言って一口食べる。
その答えに、素頓狂な声で玲が言った。
「何で!?本気であげないの!?」
「…何で、って…。それじゃ、好きですって言ってるみたいで恥ずかしいよ。」
「いいじゃん、それで!告白しちゃいなよ!」
「でも…、」
言い掛けて、言葉に詰まる。
『…あたしに、譲って頂けませんか…?』
鳴り響く、鐘の音。
美咲さんの震える声に、揺れた瞳。
その全てが、あたしの心を締めつけた。
「でも、何?」
玲が突っ込んで聞いてくる。
「…、とにかくあげる気はないよ。」
「もーっ!そんなんじゃ全然進歩しないじゃーんっ!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる玲に、誤魔化すように曖昧な笑顔を投げ、中華丼を口にした。

