ぎゅっと手のひらを握り締めた。
溢れ出した感情は、醜く歪んであたしの心に渦巻いてゆく。
「だから、今度こそ伝えたいんです。」
「……て、」
それは止まる事なく、徐々に形を変えて。
「…好き、って伝えたいんです。」
「やめて…っ!!」
耳を塞いだ時には、もう遅かった。
聞きたくない、聞きたくない。
もう、何も聞きたくない。
『気になる子が…います。』
『美咲……。』
『どこにいんの?』
全部、聞かなかった事にしてしまいたいのに。
これ以上、傷つきたくなんかないのに。
…どうして――――…
座り込んだ視界に、涙が地面に落ちた。
その瞬間、はっと我に返るあたし。
ぱっと顔を上げると
目を丸くして、美咲さんは言った。
「…日和ちゃんも、翔くんの事、」