恋 文 日 和



……息苦しい。

どこに隠れたって
逃げる場所なんかないのに。


逃げ道を作る事ばっかり覚えてしまった。

何に対しても理由を付けて、壁にぶち当たったら言い訳をして。



そんなんじゃダメ。

わかってるのに
どうしても、理由を付けたがってしまう。




恋は理屈じゃない。

恋に、理由なんてないのに。






「はぁ………、」

鏡に映る自分が溜め息をつく。


溢れ返るような人の群れの中、ようやくトイレに辿り着いたあたしは

ここぞとばかりに大きな溜め息を繰り返した。



自業自得、とは
きっとあたしの為にある言葉。

自分がいけないのに
罪悪感を感じるなんて、身勝手にも程がある。



…やだな、あたし。
しっかりしなきゃ。

せっかく神楽くんと一緒に居られるんだもん。


その時間を
溜め息なんかで塗り潰したらもったいないじゃんか。



…よし。

ふぅ、と息を吐き
パッと顔を上げ、あたしは口元に笑顔を作った。



大丈夫、笑える。

まだ、大丈夫。