恋 文 日 和



記憶に刻まれた残像は、今のあたしには
あまりに残酷だった。

ただ、胸を痛めるだけで
ちっとも優しくない。



だけど、何よりも濃く
鮮明に記憶されてる、その姿。

そして、あの名前。


『美咲……。』


神楽くんの唇が紡ぐ、彼女の存在。




写真の中
幼い神楽くんの隣で、微笑む女の子。

あの時
校門で神楽くんを待ってた、女の子だ。





「…あ、こいつは俺の中学ん時の友達で、」

張り詰めた空気に、まず口を開いたのは神楽くんだった。


ほら、挨拶しろ、と背中を押され

「…え、あ、あの、高嶋…美咲、です…。」

おどおどした彼女は、あたしたちに頭を下げる。



「あっ、お、俺は俊介!」

宜しく、と笑顔を向ける桜井くんに続き
玲が慌てて答えた。


「あ、あたしは玲!瀬宮玲!で、この子が、」

ポン、と肩を叩かれ
一歩前に出る。


「……日和、です…。」

だけど、視線は地面に向けられたまま。



…見たく、なかった。

神楽くんの隣に並ぶ、美咲さんを。