恋 文 日 和



夜になるにつれ、気温はぐんと下がり
吐く息の白さが暗闇に際立った。

澄んだ空気に
夜空に散らばる星が、いつも以上によく見える。




「ひゃー、すっごい人。」

玲がうんざりしながらも、どこか嬉しそうに言った。

つま先を立て、首を懸命に伸ばすと
神社に続く道が、人で埋め尽くされている。


「俊介たち、どこに居るんだろ。」

「これじゃ会えそうにないね。」


冷えてかじかんだ手に息を吹きかける。


「俊介にコンビニで待ってるってメールしとこっか。」

「うん。」

手袋してくればよかった…。
そう思いながら、人混みを避け
玲とコンビニの光を目指して歩いた。


玲は器用に人を避けながら歩く。

あたしはただ、冷えた手を擦り合せ
神楽くんの事を考えていた。




はぁ、と吐き出す息が
浮かんでは消えてゆく。


この息が、漫画みたいに
吹き出しになって、神楽くんの気持ちが読めればいいのに。


なんて…。
新しい年を迎える前日に、考える事じゃないよね。

こんな気持ちで、迎える一年は
一体どんな日々になるんだろう。



…玲が言うように
いい年になればいいな。