再び閉じられた扉が
焼き付いた記憶を掘り起こしてゆく。
一人残された神楽くんの部屋で
瞬きすら出来ずに、虚ろな視線を宙に向けた。
…ああ、やっぱり。
そうゆう事、だよね。
『気になる子が…います。』
いつの日か、神楽くんがリサさんに告げた言葉。
あれは、美咲さんの事だったんだ。
携帯を持つ手が、力を失くして
絨毯に降ろされる。
『直接聞いちゃえば話は早いじゃない。』
ホント、玲の言う通り。
もっと早く
聞いちゃえば、よかった。
そうしたら、こんな思い
しなくてよかったのにね。
「……っ、ぅー…。」